戸建ての2階が暑い原因は?リフォームあり・なしの暑さ対策も解説
この記事では、戸建ての2階が暑くなる原因や、具体的な暑さ対策などを解説していきます。
ここ数年、夏場の気温が上昇しており、室内で熱中症になる人が多くなっています。熱中症は夜間の就寝中にも数多く発生しており、寝室の室温が上がり過ぎないような対策が必要です。
日本の戸建ては2階に自室や寝室を配置するケースが多く、夏場の暑さによる寝苦しさに悩まされている人も少なくありません。
この記事を参考にしながら、戸建ての2階における暑さ対策を適切に実施し、熱中症などのリスクを回避していきましょう。
【この記事でわかること】
● 戸建ての2階が暑くなる原因 ● 戸建ての2階が暑い時の具体的な対策方法 |
戸建ての2階が暑い原因
ここでは、戸建ての2階が暑くなる原因を解説します。
- 暖かい空気は2階に上がる性質を持つため
- 断熱性や遮熱性が低いため
- 通気性が悪いため
- ベランダからの熱が照り返すため
順番に見ていきましょう。
暖かい空気は2階に上がる性質を持つため
空気は、暖められると膨張して軽くなり上昇する性質を持っています。そのため、戸建てに限らず、上階に行くほど室温が高くなってしまいます。
マイホームを計画する際に、吹き抜け天井にして開放感を演出するケースはよくありますが、同じ原理で室温が高くなりやすいため注意しましょう。
断熱性や遮熱性が低いため
住んでいる家の断熱性が低いと太陽熱などの外気温の影響を受けやすく、遮熱性が低いと冷やした室内の空気が外に漏れやすくなります。
特に、2階は屋根と天井以外に太陽からの輻射熱を防ぐ手段がありません。
屋根に断熱材などを入れていない家庭用物置や倉庫が、夏になると異様に暑くなる事象は輻射熱によるものがほとんどです。
可能であれば、自宅の屋根や天井裏の断熱材・断熱シートの状況をチェックしてみましょう。
夏場に「暑くて寝られない」といった日が続く場合には、信頼のおけるリフォーム業者などにみてもらうことをおすすめします。
通気性が悪いため
2階の場合、暖まった空気が滞留し逃げていかないことも暑くなる原因です。
2階の居室は自室や寝室として利用される場合が多く、窓は開けても各部屋のドアは閉じて利用するのが一般的です。
そのため空気が循環せず、暖められたままの状態で各部屋に滞留するので、室温は一向に下がりません。夏場は、1日最低でも2〜3回は各部屋の窓、ドアを開けて通風を確保しましょう。
ベランダからの熱が照り返すため
ベランダは、洗濯物を効率的に乾かすために最も日当たりが良い場所に配置されるケースが一般的です。その分、ベランダの床部分から強力な照り返しが発生し、隣接する部屋の室温が高くなることがあります。
このように、日当たりを考えてベランダが2階に配置されることも、異様に暑くなる原因のひとつといえるでしょう。
【リフォームあり】戸建てが暑い時の対策4選
ここでは、夏場に2階が暑くなる対策としてリフォームする場合の項目を解説します。
- 二重窓に変更する
- シーリングファンを導入する
- 天井断熱を導入する
- 換気排熱ファンを設置する
順番に解説していきます。
二重窓に変更する
窓を複層サッシにすると、断熱効果が高まります。窓を二重にするとサッシの間に空気層ができ、外気温を伝わりにくくするだけでなく室内の結露防止にも役立ちます。
さらに断熱効果を高めたい場合は、Low-E複層ガラスへの変更を検討してみましょう。
Low-Eガラスは夏の断熱だけでなく、冬は太陽光を取り入れやすく、かつ暖まった空気を外に逃がしにくくする効果があります。
シーリングファンを導入する
シーリングファンは、天井付近の暖まった空気を下の冷たい空気と循環させる効果があります。
天井に直接設置するため、天井補強が必要なケースや梁に直接ジョイントするケースもあります。そのため、導入したい場合はリフォーム業者に相談することがおすすめです。
大きめのファンが天井付近でゆったり動く様子は部屋のインテリアにもなり、涼しげな南国のリゾートホテルのような空気感を演出してくれます。
エアコンと併用することで、冷たい空気が部屋中に行き渡り快適に過ごせるでしょう。
天井断熱を導入する
リフォームによる対策の中で、最も効果が高いといえるのが天井断熱のリフォームです。
一般的に、屋根断熱は対策していても天井断熱は対策していない住宅が多く見受けられます。
また、その逆のケースも存在します。
このような住宅の天井裏は、夏の最盛期には簡単に60度を超えてしまいます。根本的に夏の暑さを対策する場合は、天井断熱と屋根断熱両方の施工がおすすめです。
加えて、屋根を遮熱塗料で塗り替えれば、夏の2階の暑さは劇的に解消されるでしょう。とはいえ、相応の費用負担が発生するので、信頼のおける業者に相談してみましょう。
換気排熱ファンを設置する
天井断熱や屋根断熱以外の方法として、換気排熱ファンを設置することも効果的です。
夏場の天井付近にこもる熱気を、天井に設置したファンが吸い込んで外に排出する仕組みです。
三菱電機の実験データでは、8月上旬の室内温度を3度程度下げることに成功しており、実生活においても優れた断熱性能を発揮してくれるでしょう。(※)
※参考:換気排熱ファン:用途別換気扇|三菱電機 空調・換気・衛生
【リフォームなし】戸建ての2階が暑いときの対策5選
ここでは、夏場に2階が暑くなるときの対策において、リフォームなしで取り組める方法を5つ紹介します。
- サーキュレーターや扇風機を設置する
- 空気の抜け道を確保する
- ベランダに打ち水をする
- グリーンカーテンやすだれを取り付ける
- 遮熱性のあるカーテンを取り付ける
順番に見ていきましょう。
サーキュレーターや扇風機を設置する
サーキュレーターや扇風機を利用することで、夏場の室温を効率的に抑えられます。サーキュレーターや扇風機を賢く利用すれば、以下のような効果が得られます。
- サーキュレーターとエアコンを併用することで冷たい空気の循環が可能であり、無駄にエアコンの温度を下げる必要がなくなる
- サーキュレーターや扇風機は通風効果があり、効果的に空気の循環や換気が可能
上記のように、サーキュレーターや扇風機自体に室温そのものを下げる機能はありませんが、空気の循環や通気に大きな効果を発揮します。
空気の抜け道を確保する
暑さ対策の2つ目は、部屋の通風を確保することです。部屋の通風を確保することで、暖かい空気を滞留させず外に逃せられます。
具体的には、各部屋の窓、と扉(ドア)を開放すると良いでしょう。
部屋の扉と窓は対角線上の位置関係にあることが多く、双方を開放することで室温を下げるだけでなく効率的に換気できます。
夏場は、1日に2〜3回程度、各部屋の窓や扉を開放しましょう。
ベランダに打ち水をする
夏の風物詩でもある打ち水をベランダにするだけで、効果的に室内の温度を下げられます。
ただし、打ち水のやり方を間違えると効果が半減するので、涼しくなる仕組みを理解して効果的に室温を下げましょう。
日差しで暖められた床面に水をまくと、床面の温度を下げるのと同時に水は蒸発します。水は、蒸発すると周りの熱を奪い周辺の温度を下げる働きがあります。これを気化熱といいます。
加えて、水蒸気が発生すると気圧が上がり、打ち水をしていない場所に向けて空気が流れ、心地良い風が得られるでしょう。
また、打ち水は朝や夕方などの日差しが強くない時間帯に実施することが重要です。日差しが強いと水がすぐに蒸発してしまい、気化熱の効果が薄れてしまいます。
気化熱の効果を高めるには、なるべくベランダの床面に長く水が残っている状態を保てるように、打ち水の時間帯を工夫しましょう。
グリーンカーテンやすだれを取り付ける
グリーンカーテンやすだれを建物の壁面や窓に設置して、夏場の室温を下げましょう。
グリーンカーテンとは、ベランダの一部や窓をツル状の植物で覆って日差しを遮る手段を指します。アサガオなどの植物は水分を多量に含んでいるため、蒸発により気化熱が発生し周囲の温度を下げられます。見た目の癒し効果も高いので、気になる人はぜひ検討してみてください。
また、すだれも夏の強い日差しをカットできます。
すだれは、視覚的にも夏の涼しさを演出する効果が高くリーズナブルでもあるので、すぐに対策しやすい便利グッズです。
どちらも取り入れやすく、費用的にも家計に優しいので積極的に取り入れてみましょう。
遮熱性のあるカーテンを取り付ける
遮熱性の高いカーテンは、熱を遮り室温を一定に保つのに効果的なアイテムです。
しかし、熱を遮るのと同時に遮光もしてしまい、日中でも室内が暗くなってしまうので注意してください。昼間でも照明をつけっぱなしにしなければならないので、電気代のことを考えると家計に優しい対策グッズとはいえません。
他の対策グッズと併用しながら、賢く利用しましょう。
戸建ての2階における暑さに関するよくある質問
最後に、戸建ての2階の暑さに関するよくある質問を紹介します。
- 外は涼しいのに部屋が暑いのはなぜ?
- 2階が暑くない部屋の特徴は?
- 一階と二階の温度差を解消する方法は?
順番に回答していきます。
外は涼しいのに部屋が暑いのはなぜ?
家は屋根や壁で囲まれているので、日中に暖まった空気が室内にこもり、夜になっても逃げていかず、暑いままの状態が続きます。
気密性の高い住宅の場合、気密性の高さが原因で暖まった空気が外に逃げていかず、夜間の熱中症につながるおそれがあります。
エアコンやサーキュレーターを効果的に使用しつつ、換気をこまめに実施して部屋の通気を心がけましょう。
2階が暑くない部屋の特徴は?
2階が暑くならない部屋の特徴は、主に以下通りです。
- ベランダに隣接していない
- 南側に面していない
- 角部屋などで窓が2箇所あり部屋の中で通風が可能
- 屋根裏の断熱が完璧になされている
上記のような点が、比較的暑くなりにくい部屋の特徴です。とはいえ、夏の猛暑日にはエアコンや遮光カーテンなど、人為的な対策も必要であることを認識しておきましょう。
1階と2階の温度差を解消する方法は?
1階と2階の温度差を解消する一般的な方法は、サーキュレーターや扇風機、シーリングファンなどを使って、空気を循環させることです。
とはいえ、夏のピーク時に空気の循環だけで上下階の温度差を解消するのは困難でしょう。
そうした場合は、2階の天井に遮熱シートを貼る方法を検討しましょう。遮熱シートは断熱だけでなく、冬場に部屋の暖まった空気が外に逃げてしまうのを抑制する効果もあります。
また、窓周辺の温度を下げる遮熱フィルムを窓に貼るのもおすすめです。
戸建てにおける2階の暑さ対策は自分でできることから始めよう
ここまで解説した通り、屋根や天井直下にある2階の室温は、屋根形状や断熱材の有無以外にも多くの原因に左右されることがわかります。
2階の暑さに不満がある人は、全ての部屋の窓や扉を開放して通風を確保することや、ベランダに打ち水するなど自分でできることから始めてみてください。
それでも暑さを抑えられない場合は、専門の業者に相談して原因を究明し断熱材や断熱シートなどの専門的な措置を検討してもらいましょう。
アイフルホームでは、新築のご相談はもちろん、今回のテーマである暑さ対策の相談にも応じています。快適な家づくりを検討している人は、ぜひ一度、お問合せください。
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※金利や制度は2023年4月時点のものです。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。