一戸建ての虫対策は?侵入経路や新築住宅の対策を解説
この記事では、一戸建ての虫対策について解説します。
一戸建てに居住する場合、マンションよりも注意する必要があるのが虫対策です。なぜなら、一戸建てはマンションと比べて地面が低く、侵入経路が多くなりがちであるからです。
また、窓や玄関などの開口部も複数存在し、網羅的に対策しなければ、1箇所からでも害虫被害につながるおそれがあります。虫の侵入は、建物や自身の健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。そのため、事前に対策を講じることが重要です。
この記事では、一戸建てにおける虫の侵入経路もあわせて紹介します。事前に対策を押さえて、害虫被害を防ぎましょう。
【この記事でわかること】
● 一戸建てにおける主な害虫被害
● 一戸建てで虫が侵入しやすい場所
● 一戸建てにおける虫対策
一戸建てで起きる主な害虫被害
一戸建てで起きる主な害虫被害を把握する前に、種類と被害を以下にまとめました。
害虫 | 被害 |
シロアリ | 建物の侵食 |
ゴキブリ、イエバエ、ヒトスジシマカなど | 病原微生物の媒介 |
ムカデ、ダニ、アタマジラミなど | 皮膚の炎症 |
スズメバチ、アシナガバチなど | 皮膚炎やアレルギー |
イガ(衣蛾)、カツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなど | 衣服の侵食 |
上記を踏まえ、一戸建てで考えられる主な害虫被害を4つ紹介します。
- 建物
- 健康面
- 衛生面
- 衣類
順番に見ていきましょう。
建物
建物自体に影響する害虫被害の中でも特に深刻なのが、シロアリです。木材を主食とするシロアリは、建物の基盤や床板、柱など重要な構造部分を侵食し、建物の安定性を脅かします。
もともと耐久性の高い造りにしていたとしても、定期的な点検や予防処置を行うことが重要です。その際は、専門家の助言を受けながら対策を講じましょう。
健康面
害虫は、健康面での害虫被害も考えられます。
例えば、ムカデやダニ、ノミなどの害虫にかまれると、皮膚が炎症を起こすケースがあります。
そのため、害虫対策は建物の安定性だけでなく、健康面でも重要なポイントです。日常的な清掃や専門家の助言などによって、健康被害を守りながら快適な生活が続けられます。
衛生面
害虫は、衛生面でも深刻な被害を引き起こします。
特に「衛生害虫」と呼ばれるゴキブリやハエなどは見た目の不快感だけでなく、食品の汚染やアレルギー反応などの実害をもたらします。不快感や衛生面での被害が健康に対する悪影響にもつながるため、害虫対策は重要です。
食品の保存場所やゴミの定期的な処分を意識し、食べかすや飲み物の残骸が周囲に散らばらないように注意しましょう。
衣類
イガ(衣蛾)やカツオブシムシなどが引き起こす衣類被害も考えられます。
これらの幼虫はタンパク質を好み衣類を食べるので、服に大きな穴を開けることがあります。特に、シルクやウール製品には注意が必要です。
衣類は密閉できる場所に保管し、防虫剤を適切に使用することをおすすめします。
一戸建てで虫が侵入しやすい場所
次に、一戸建てで虫が侵入しやすい場所を5箇所挙げました。
- 窓や網戸の隙間
- エアコンや室外機のホース
- 換気扇
- 外に干した洗濯物
- ベランダ
ここからは、上記の場所に虫が侵入しやすい理由を解説します。
窓や網戸の隙間
一戸建てでは、窓や網戸の隙間から虫が侵入することがあります。窓が古くなったり、網戸に穴が開いたりすると隙間が生じます。
虫は、小さな隙間でも侵入しやすいため、害虫対策用のテープを使ったり、目の細かい網戸に交換したりすることで、虫の侵入を防げます。
窓近辺の清掃や定期的な網戸の交換なども効果的です。
エアコンや室外機のホース
エアコンや室外機のホースも、害虫が侵入しやすい場所です。エアコンのホースなどは細く気づきにくいため、盲点になるでしょう。
ホースの先端にキャップを取り付けることで、虫の侵入を防ぐことが可能です。定期的な点検や清掃も徹底しながら、虫の侵入を未然に防止しましょう。
換気扇
換気扇も虫が侵入しやすい場所として挙げられます。
キッチンやトイレに設置された換気扇は、空気をきれいに保つ役割を果たしますが、その通気口は虫にとっては大きな侵入口です。
対策として、市販の換気扇用フィルターを購入し、隙間なく取り付けることが挙げられます。
換気扇をしっかりと保護することで、虫の侵入を防ぎ、清潔な空気の確保が可能です。
外に干した洗濯物
外に干した洗濯物にも注意が必要です。
湿気を好む虫は、湿った洗濯物に潜り込んでくることがあります。湿度が高い日には、虫の活動が活発化する傾向にあります。
洗濯物を干す場所にも注意が必要です。特に、樹木や植物の近くに洗濯物を干している場合、虫の生息地が近いケースが少なくありません。
洗濯物を外に干す際は、できるだけ風通しの良い場所を選び、完全に乾かしてから取り込むことで虫の侵入を防げます。
さらに、洗濯物を取り込む際には、よく振って虫を落とすことも忘れないようにしましょう。
ベランダ
一戸建てのベランダは外部との接点となり、虫の侵入経路にもなりやすい場所です。室内との間に隙間がある場合や、洗濯物に虫が付着している場合、家に虫が侵入するおそれがあります。
虫の侵入を防止するには、隙間をふさいだり、網戸を設置したりすることが効果的です。洗濯物を干す際には、よく振って虫を落とすなどの対策も良いでしょう。
一戸建ての完成までにできる虫対策4選
一戸建ての虫対策として完成前と完成後にできる虫対策があります。まずは、完成前の虫対策として4点挙げました。
- 虫が出にくい立地に家を建てる
- 虫が付きにくい植物を選ぶ
- シロアリ対策を意識した構造にする
- 建築時の木屑はすぐに廃棄する
順番に見ていきましょう。
虫が出にくい立地に家を建てる
一戸建ての建設前に虫対策を考える際、立地条件は非常に重要です。
湿気が虫の発生に影響するため、川沿いや湿地の近くは避けましょう。暗渠(あんきょ)も、湿気をため込みやすい場所として挙げられます。暗渠とは、地下に設けられた水溝を指し、下水や灌漑用水を送・配送する役割があります。
こういった湿気が多い場所を避けることで、虫の侵入を未然に防止できます。
都会よりも郊外の方が土の量が多く、虫が発生しやすい傾向にあります。そのため、街の中心部に近い土地を選ぶことで、虫を避けやすくなります。
建設前の計画段階で立地を検討し、虫対策を施すことが重要です。
虫が付きにくい植物を選ぶ
虫が付きにくい植物を庭に導入することで、虫の侵入を防止できます。以下、虫よけ効果が期待できる植物について表にしました。
植物 | 虫除け効果 |
ローズマリー | 蚊などに効果あり |
レモングラス | 蚊・ゴキブリ・ダニなどに効果あり |
ユーカリ | 蚊・ハエなどに効果あり |
ペパーミント | 蚊・アリ・ダニなどに効果あり |
ラベンダー | 蚊・蛾などに効果あり |
特に、虫よけ効果が期待できるハーブを植えるのがおすすめです。ローズマリーは虫よけ効果があるうえ世話が簡単なので、住宅植栽に適しています。
他にも、ラベンダーやミントなども虫除け効果があるため、植栽の際に積極的に利用するのがおすすめです。植栽によって、虫の侵入を防ぎながら美しい庭をつくれるでしょう。
シロアリ対策を意識した構造にする
一戸建て住宅には、シロアリ対策を意識した構造を採用しましょう。特に木造住宅は、シロアリが嫌うヒノキやヒバの使用や、防蟻処理などがおすすめです。
また、建物下部の土処理や、基礎工事で通風を確保するなどの対策も効果的です。
新築の場合は、シロアリ対策が標準的に行われています。しかし、築年数が古い一戸建てなどはシロアリ処理が施されていない場合があります。
中古の一戸建てを購入する場合、適切な対策を施しシロアリ被害を未然に防ぎましょう。
建築時の木屑はすぐに廃棄する
一戸建ての建築時に生じた木くずなどのゴミは、虫の発生源になり得ます。
施工会社に相談し、放置を避け、木くずはすぐに廃棄することをお願いしましょう。木くずは害虫被害以外にも、アレルギーを引き起こしたり、転倒リスクを高めたりすることがあります。
施工段階での処置が必要であり、信頼できる施工会社の協力が不可欠です。
一戸建ての入居後にできる虫対策4選
一戸建ての入居後にできる虫対策として4点挙げました。
- 引っ越し時の段ボールはすぐ捨てる
- 侵入しそうな経路を遮る
- 湿気がこもらない対策をする
- ゴミを貯めずにすぐ捨てる
順番に見ていきましょう。
引っ越し時の段ボールはすぐ捨てる
引っ越し時の虫対策として重要なのが段ボールの処分です。新築でもゴキブリが出る場合、前の住居から侵入している可能性があります。
また、スーパーなどでもらった段ボールに卵が付着しているかもしれません。荷造り用の段ボールはなるべく新品を使い、使用後は速やかに処分しましょう。
虫の侵入を防ぐためには、段ボールの処分は引っ越し後すぐに行うのがおすすめです。
侵入しそうな経路を遮る
侵入経路を遮ることも重要な対策です。室内で虫を見つけた場合、外からの侵入経路が存在している可能性が高いといえます。
窓やドアの隙間、通気口、排水溝など、虫が侵入しやすい箇所をチェックし、遮断しましょう。
シーリングや防虫ネットの設置、隙間の埋め合わせなどにより、虫の侵入を防ぐことが重要です。入居後の定期的な点検も忘れずに行い、侵入経路を確実に遮断しましょう。
湿気がこもらない対策をする
湿気がこもらないための対策も重要です。湿気の多い環境はゴキブリや他の害虫にとって居住しやすい場所になります。
新築の家は、通常湿気が少なく虫が発生しにくい環境ですが、常に換気を心掛けることでさらに湿気を抑えることが可能です。
定期的な換気や、湿気対策で虫の侵入を防ぎ、快適な住環境を維持しましょう。
ゴミを貯めずにすぐ捨てる
ゴミは貯めずにすぐに捨てましょう。特に、キッチンの生ゴミは定期的に捨てないと虫の発生源となります。
また、ダンボールや新聞紙なども溜めずにすぐに処分することが重要です。ゴミは虫が湧く原因となるため、定期的に捨てることがおすすめです。
一戸建ての害虫対策に関するよくある質問
ここからは、一戸建ての害虫対策に関するよくある質問を紹介します。
- 一戸建てはマンションより虫被害が多いって本当?
- 冬でも一戸建てに虫が発生するのはなぜ?
- 一戸建ての虫対策を徹底して快適な暮らしを送ろう
順番に回答します。
一戸建てはマンションより虫被害が多いって本当?
一般的に、一戸建てはマンションよりも虫の侵入経路が多く、管理が困難です。
ただし、マンションは住戸同士が接しているため、隣人のゴミなどから虫が侵入するケースも考えられます。どちらの住まいにおいても、定期的な虫対策が重要です。
冬でも一戸建てに虫が発生するのはなぜ?
冬でも一戸建て住宅で虫が発生するのは、虫が暖かい室内を好んでいるからです。
外気が冷え込む冬季には、建物内が暖房で温められるため、虫は室内に侵入しやすくなります。
寒さから逃れるために建物の隙間やクラックから侵入するケースは少なくありません。冬場に虫の侵入を防ぐには、隙間をしっかりと塞ぎ、定期的な室内の清掃や害虫対策が必要です。
一戸建ての虫対策を徹底して快適な暮らしを送ろう
快適な暮らしを送るためには虫対策が重要です。定期的な清掃や隙間を埋めるなどの対策があります。より効果的な虫対策を実行するためには、施工会社の協力が必要です。
宮城県を中心に家づくりをご提案しているアイフルホームは、お客様に寄り添いながらご相談を承ります。害虫被害の不安も解消できるように最適なプランをご提案しますので、マイホームをご検討の方は、ぜひ一度アイフルホームへご相談ください。
資金計画・家づくりについてアイフルホームに相談する |
※金利や制度は2024年4月時点のものです。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。