老後はマンションと一戸建てのどっちが良い?メリットやデメリットで比較
老後の生活は、自分が住んでいる家の状態によって暮らしやすさが大きく左右されます。
「駅までの距離が遠く感じられる。」
「庭の掃除を毎日するのが大変。」
上記のようなことをきっかけに、老後は駅近のマンションなどに住み替えを検討する人は少なくありません。
老後の生活には現役世代とは異なる特徴や注意点があるので、老後の住まいを選択する際はしっかりと把握しなければなりません。
本記事では、老後にマンション・一戸建てで生活する場合のメリット・デメリット、さらには注意すべき点について詳しく解説します。
【この記事でわかること】
● 老後の暮らしや住まいの統計データ ● 老後にマンションで暮らす際のメリット・デメリット ● 老後に一戸建てで暮らす際のメリット・デメリット ● マンションが向いている人と一戸建てが向いている人の特徴 |
老後の暮らしや住まいの統計データ
まずは、国内における高齢者世帯の暮らしや住まいに関するデータを見ていきましょう。
ここで確認しておきたいデータは、以下の2つです。
- 高齢者の平均所得額や貯蓄額
- 高齢者の持ち家率
それぞれ直近のデータを紹介していきます。
高齢者の平均所得額や貯蓄額
厚生労働省の国民生活基礎調査の概況によれば、65歳以上の高齢者世帯の2020年1月1日〜12月31日までの平均所得額は332万9,000円です。
全世帯の平均所得額564万3,000円と比べると半分強程度の所得額となっており、所得ベースはそれほど高い水準とはいえません。
高齢者世帯では、所得のうち62.3%を公的年金・恩給が占めており、稼働所得(給料や自営業報酬)は21.5%です。
〈世帯主の年齢階級別貯蓄高の推移(二人以上の世帯)〉
一方で、高齢世帯の平均貯蓄額は総務省統計局の家計調査報告によると、60歳代が2,537万円、70歳以上が2,318万円です。
貯蓄額は40代の倍以上、50歳代の1.5倍程度になっており、高齢者が住宅を検討する場合は自己資金の負担率が高くなると想定されます。
高齢者の持ち家率
※出典:持家世帯の推移|厚生労働省
60歳以上の高齢世帯の持ち家比率は、過去30年以上に渡って約80%になっています。
さらに、『高齢者のいる世帯の状況』に絞って過去のデータを確認すると86.1%にも及び、高齢世帯における持ち家比率の高さがわかります。
現在、高齢世帯の占める人口比率は令和4年度で全体の約29%です。
そのうち、80%の世帯が持ち家であるため、今後ますます二次取得を含めた住み替えの問題はクローズアップされるでしょう。
老後にマンションで暮らすメリット
ここでは、老後にマンションで暮らす場合のメリットを解説します。
- 駅近で利便性が高い
- バリアフリーで暮らしやすい
- セキュリティ面がしっかりしている
順番に見ていきましょう。
駅近で利便性が高い
マンションは主要駅から徒歩15分圏内に計画される場合が多く、一戸建てに比べて便利な点が特徴です。
自動車に頼らなくても買い物や移動に困らない駅近の生活は、体力の低下を心配しなければならないシニア世帯にとって大きな魅力の一つでしょう。
また、車を持たないことでランニングコストの削減にも繋がります。
バリアフリーで暮らしやすい
昨今のマンションは、エントランスから室内まで段差のないバリアフリー構造を採用しているものがほとんどです。
高齢になるほど、少しの段差でもつまずいて怪我することも多く、骨折してしまうと致命傷にもなりかねません。
バリアフリーは、老後を安心して暮らすために必要といっても過言ではありません。
セキュリティ面がしっかりしている
一戸建ては、セキュリティ面がしっかりしている点もメリットの1つです。
近年では、エントランスゲートから各部屋に至るまでオートロックを実装することも可能であるため、セキュリティ面は安心といえるでしょう。
老後にマンションで暮らすデメリット
ここでは、老後にマンションで暮らす際のデメリットもチェックしておきましょう。
老後にマンションで暮らす際のデメリットは、以下の3つです。
- 狭く感じやすい
- 維持費を自己負担しなければならない
- 騒音が気になるケースがある
狭く感じやすい
老後の住み替えにマンションを検討すると、ほとんどの場合で狭く感じるケースがあります。
それまでの住まいが郊外の一戸建ての場合、庭もなく壁一つで隣家という環境は、実際の面積以上に窮屈さを感じる場合も少なくありません。
維持費を自己負担しなければならない
マンションに住む場合、住宅ローン以外に管理費や修繕積立金が必要になります。
金額は物件によってさまざまですが、所有している限り毎月支払う必要がある費用のため、リタイア後も生活費に見込んでおかなければなりません。
共用部分の清掃不要やゴミ出し時間に制約がないなどのメリットもありますが、通常少なくとも月額1〜3万円程度の負担が必要になると考えておきましょう。
騒音が気になるケースがある
一戸建てと違い上下左右を壁1つで隣家に囲まれているので、常にお互いの生活音を気にしながら生活しなければなりません。
早朝や深夜は、さらに振動やテレビなどの物音にもケアが必要になります。ピアノなどの楽器を使用することも難しく、生活音で何かとストレスを感じてしまうことも多くなるでしょう。
老後に一戸建てで暮らすメリット
ここでは、老後に一戸建てで暮らす場合のメリットを解説します。
老後に一戸建てで暮らす際のメリットは、以下の4つです。
- プライバシーを確保できる
- リフォームしやすい
- 騒音が気になりにくい
- 資産として残せる
それぞれ解説していきます。
プライバシーを確保できる
一戸建ては世帯ごとに独立しているため、家族構成や行動時間帯などを推測されにくく、プライバシーを確保しやすい特徴があります。
近隣と住居が離れているのでお互いの干渉も受けにくく、ペットを飼うことにも制限がありません。
マンションと異なり、上階や左右の物音を気にすることもなく、生活音が近隣にストレスを与えることも少ないといえるでしょう。
リフォームしやすい
一戸建てであれば、リフォームやリノベーション、増改築も構造次第で自由にできます。
マンションでもリフォームやリノベーションは可能ですが、あくまで専有部のみに限られます。
ライフスタイルに応じて子ども部屋を増やし、子どもが独立したら一部を賃貸できるようにリフォームすることも、プランによっては可能になるでしょう。
騒音が気になりにくい
上下左右が壁や床一つで隣家というマンションでは、生活音が原因でトラブルになることが多いのも事実です。
隣家の物音をストレスに感じることもありますし、自分たちの生活音が隣家に迷惑をかけていないか常にケアしなければなりません。
一戸建ての場合は、隣家の物音を気にすることも少ないし、こちらの生活音が近隣にストレスを与えることも少なくなります。
孫が遊びに来て室内を走り回ったり大声を出したりしても、マンションのような不安は残りません。
資産として残せる
一戸建ては、自分が購入し所有しているものであるため、資産価値が高いといえます。
マンションも土地の一部を持分として所有しているケースがありますが、換金性や流動性が低いため資産としての自由度は高くありません。
このように、一戸建ては将来の資産価値が安定しているため、子どもたちに安定した資産として残せるでしょう。
老後に一戸建てで暮らすデメリット
老後に、一戸建てで暮らす際にはデメリットも把握しておきましょう。
老後に一戸建てで暮らす際のデメリットは、以下の2つです。
- 立地によっては利便性が悪い。
- 掃除やメンテナンスに負担がかかる。
順番に見ていきましょう。
立地によっては利便性が悪い
一戸建ての場合、ある程度の土地面積を確保するために、土地価格が安めの郊外に建築する場合が多く、利便性が悪くなりやすい傾向にあります。
買い物などで移動する場合は、自動車を利用することになるため、高齢になっても免許が必須となるケースが生じます。
なるべく移動手段をラクにするためにも、事前に交通アクセスも確認することが重要です。
掃除やメンテナンスに負担がかかる
一戸建ての場合、一般的にマンションよりも広く部屋数も多いので、日常的なメンテナンスや清掃の負担は大きくなります。
また、敷地内の庭には樹木や専用駐車場があり、室内だけでなく庭木も清掃しなければなりません。
マンションのように共用部がない分、修理や修繕も全て自分で対応しなければならないので、マンションに比べて費用負担も大きくなりがちです。
老後はマンションと一戸建てどっちが良い?
老後にマンションか一戸建てかを決めるためには、自分の状況に合わせて検討することが重要です。ここでは、それぞれに向いている人の特徴を解説します。
- マンションが向いている人の特徴
- 一戸建てが向いている人の特徴
順番に見ていきましょう。
マンションが向いている人の特徴
老後にマンションが向いている人の特徴は、主に以下の3点です。
- 老後は車の運転を必要とせずに生活したい人
- 相続後に売却や賃貸がしやすい資産を持ちたい人
- 掃除やメンテナンスの負担を軽くしたい人
マンションの最大のメリットは利便性の良さであるため、将来売却や賃貸がしやすく実際の生活も便利で快適に暮らしたい人に適しています。
一戸建てが向いている人の特徴
老後に一戸建てが向いている人の特徴は以下の3点です。
- 老後は郊外の静かな環境でゆったり過ごしたい人
- 資産を安定した土地で残したいと考えている人
- 車の運転が苦にならない、もしくは日常の買い物などをWEB上で済ませられる人
一戸建ての最大のメリットは、生活における自由度の高さです。
利便性に問題がなければ、間取りをライフステージに応じて変えられる自由度があることや、近隣に対するストレスが生じにくいことが魅力といえます。
老後にペットを飼ったり、ガーデニングしたりするのに適しています。
老後のマンションや一戸建てに関するよくある質問
最後に、老後のマンションや一戸建てに関するよくある質問を紹介します。
- マンションと一戸建てのどちらがお得?
- 老後にマンションの管理費が払えない場合はどうする?
- 老後は極小住宅でも大丈夫?
順番に回答していきます。
マンションと一戸建てのどちらが得?
老後にマンションと一戸建てのどちらが良いのかは、人それぞれ状況によって異なるので一概にどちらが良いとは断定できません。
売りやすさや売却価格を比較する前に、老後の自分にとってどちらが安心してリーゾナブルに暮らせるかを比較することが大切です。
これまでの暮らしとは異なり自宅で過ごす時間が長くなるので、買い物や病院へのアクセスなども重要な比較ポイントになります。
その上で、マンションは管理費、一戸建ては修繕費が多めにかかるなどの点を比較しましょう。
資産性を比較する場合は、持ち続けるなら土地付きの一戸建て、売りやすさや賃貸のしやすさならマンションなど、ポイントを絞って検討しましょう。
老後にマンションの管理費が払えない場合はどうする?
老後に資金を捻出する方法としては、以下の3点があります。
- マンション売却
- リースバック
現実的には、どうしても管理費が払えない場合にはマンションを売却し、資金内で郊外の一戸建てに住み替えることをおすすめします。
一戸建てであれば、新築・中古を問わず管理費や修繕積立金、駐車料金などはかかりません。
リースバックは、マンションをリース会社に売却した上でそのマンションに住み続ける方法ですが、リース料は管理費以上に高いケースがあるので現実的ではありません。
老後は極小住宅でも大丈夫?
老後の生活を満足させられるのであれば、1LDKなどの極小住宅でも問題はありません。
費用負担が少ないことで、将来的に売却や賃貸もしやすく無理のない計画ができるでしょう。
老後は自分が重視するポイントからマンションや一戸建てを選ぼう
老後の生活を安心して快適に送るためには、自分たちが重要視したいポイントを明確にした上でマンションや一戸建てを選ぶことが大切です。
自分が理想とする暮らしを、しっかりと見極めるところから始めてみましょう。自分の優先したいポイントが決まったら、具体的に業者選びへ進みましょう。
アイフルホームでは、老後の暮らしに向けたご相談も、専門のスタッフがお客様に寄り添いながら対応いたします。まずは、お近くのアイフルホーム展示場へお越しください。
来店予約・WEBミーティング|注文住宅のFCハウスメーカー【アイフルホーム】 |
※金利や制度は2023年3月時点のものです。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。