一戸建ての解体費用はいくらかかる?安く抑えるポイントや注意点も解説

一戸建ての解体費用はいくらかかる?安く抑えるポイントや注意点も解説

戸建住宅の解体は、自分たちに無縁の話だと考えている方が多いかもしれませんが、そんなことはありません。
地域差はあるものの、空き家の数は増え続けており、相続や建替えに伴う一戸建ての解体は想像以上に身近な問題です。

 

そこで今回は、一戸建ての解体費用について解説してまいります。
注意点や費用を抑えるポイントも紹介していますので、自分事として考えてみましょう。

 

そもそも一戸建ての解体費用は何で決まる?

一戸建ての解体費用は、様々な要因によって金額が決まります。
見積もりを確認する際は、以下の項目に注意して下さい。

 

・構造

・立地(地域差)

・付帯工事

・解体業者

・アスベスト調査

・廃材処理や整地

 

順番に解説します。

 

構造

解体費用は構造によって決まり、木造・鉄骨造・RC造の順に費用が高くなります。
戸建住宅の大半は木造ですが、解体の手間がかかるほど価格が高くなる点に注意が必要です。

 

立地(地域差)

 

立地も解体費用に影響を与えます。
人件費が占める割合が多いため、地方に比べて、都心部では解体費用が割高になる傾向があります。
また、周辺道路の幅員により、重機や運搬トラックに制限が出る場合も、追加費用の発生に注意が必要です。

 

付帯工事

付帯工事の有無も解体費用に関わる項目の一つ。
具体的には、植栽・ブロック塀・浄化槽撤去などが挙げられます。
全体の費用を抑えるためにも、個別で撤去できるものが無いか確認してみましょう。

 

解体業者

 

同じ内容の工事でも、依頼する解体業者ごとに解体費用は異なります。
建替えであれば、建築会社へ紹介を依頼して下さい。
信頼できる業者が見つかる可能性が高くなります。

 

アスベスト調査

解体費用はアスベスト調査の有無によっても変化します。
解体工事には、アスベスト含有を確認する事前調査が義務付けられており、アスベストの除去工事の目安費用は1㎡あたり2万円~8.5万円です。

 

廃材処理や整地

廃材処理や整地も解体費用に影響を与えます。
解体工事で出る廃材は、木くず・コンクリートガラ・外壁材類ごとに分別処理が必要であるため、処理費用についても確認が必要です。
また、解体後は整地まで行うことが一般的であり、粗仕上げや砂利整地などの整地方法により費用が異なります。

 

一戸建ての解体費用の内訳?

構造別の解体費用を以下の表にまとめています。
詳細については、項目ごとの一覧をご確認下さい。

 

 

 

宮城県仙台市(坪単価)

東京都大田区(坪単価)

木造

29,000円

39,000円

鉄骨造

29,000円

52,000円

RC造

42,000円

74,000円

※本体工事費+付帯工事費の平均金額

 

・解体業者の費用内訳

・付帯工事費用の内訳

・廃材処理や整地の費用内訳

・アスベスト処理にかかる費用内訳

 

順番に解説します。

 

解体業者の費用内訳

 

仮設工事

解体工事

整地費用

廃棄物処理費用

諸経費

費用割合

1~2割

3~4割

1割

4~5割

1割

 

解体業者の費用内訳は、上記の通り分類されます。
業者によって見積もりの出し方は異なりますので、全体の金額を確認した上で、比較検討することをおすすめします。

 

付帯工事費用の内訳

 

工事内容

工事金額

樹木撤去

1万円~/1本

ブロック塀撤去

2,000円~/㎡

浄化槽撤去(汲み取り含む)

10万円

 

付帯工事は単独で撤去する場合、費用が割高になるケースがあるので注意が必要です。
一方で、植栽など自分で撤去可能なものは、クリーンセンターへ持ち込んで解体費用を節約しましょう。

 

廃材処理や整地の費用内訳

 

廃材の種類

処理費用

木くず

10,000円/㎡

石膏ボード

25,000円/㎡

コンクリートガラ

25,000円/㎡

外壁材

30,000円/㎡

 

廃材処理費用は廃材の種類によりますが、全体の工事費用の3割~4割と大きな割合を占めます。
運搬トラックの積載量により、運搬回数が変わるため、進入路の幅員にも注意が必要です。

 

整地費用は仕上げ方法により異なり、粗仕上げで㎡あたり500円前後、アスファルト舗装であれば、㎡あたり5,000円前後を想定しておきましょう。

 

アスベスト処理にかかる費用内訳

 

費用内訳

処理費用

アスベスト調査費用

3~5万円

アスベスト処理費用(300㎡以下)

20,000円~85,000円

 

解体業者から調査依頼があれば、アスベスト調査に協力しなければなりません。
1975年以前に建築された建物では、アスベスト使用の可能性が高いので注意が必要です。

 

一戸建ての解体費用を安く抑えるポイント

一戸建ての解体費用を安く抑えるポイントをまとめています。
手間や時間を惜しまなければ、解体費用の節約が可能です。

 

・自分で処理できるものはやっておく

・複数の解体業者で見積もり

・補助金や助成金を活用する

・解体ローンを利用する

 

順番に解説します。

 

自分で処理できるものはやっておく

一つ目のポイントは、自分で処理できるものはやっておくことです。
具体的には、室内の家財関係が挙げられます。
思い出の品を処分することに抵抗を覚えるかもしれませんが、少しずつ処分していきましょう。

 

複数の解体業者で見積もり

複数の解体業者に見積もりを依頼することもポイントの一つ。

金額とサービス内容を比較して、優良業者を選びましょう。

 

補助金や助成金を活用する

 

お住まいの自治体の補助金や助成金の活用もポイントの一つです。
解体費用の助成を受けられる条件は、自治体によりまちまちなので、市役所などへ問い合わせをして下さい。

 

解体ローンを利用する

 

費用の捻出が難しい場合、解体ローンの利用がおすすめ。
ローンの名称は金融機関により異なりますが、地方銀行での取扱いが多いので、空き家撤去を急がれる方におすすめの方法です。

 

一戸建てを解体する際の注意点

解体工事を検討する際に気を付けておきたいポイントをピックアップしています。

 

・解体後は建物滅失登記を行う

・固定資産税が上がる可能性がある

・再建築不可になる可能性がある

・解体より売却する方が良いケースもある

 

順番に解説します。

 

解体後は建物滅失登記を行う

 

解体後は建物滅失登記を忘れないように注意が必要であり、1ヶ月以上放置すると罰則の対象となります。
手間はかかりますが、自分で手続きすれば、土地家屋調査士へ依頼するよりお得です。

 

固定資産税が上がる可能性がある

固定資産税が上がる可能性がある点にも注意が必要です。
解体により、住宅用地特例が適用されなくなることが理由であり、敷地に広さに応じて税負担が増える可能性があります。

 

再建築不可になる可能性がある

 

解体後に再建築不可になる可能性があることも注意点の一つ。
市街化調整区域に住宅がある場合、再建築が安易に行えないケースがありますので、事前に自治体に確認をすることをおすすめします。

 

解体より売却する方が良いケースもある

 

解体せずに売却する方が良いケースも存在します。
古家付き土地として売り出すと、日当たりや配置などがイメージしやすいことが理由です。

 

一戸建てを解体する流れ-大きく3ステップ

一戸建て解体の流れを3ステップに分類しています。

 

・ステップ1.見積もり

・ステップ2.事前準備

・ステップ3.解体工事着手

 

順番に解説します。

 

ステップ1.見積もり

 

見積もりを依頼するにあたり、立ち合いの上で、現地調査が必要となります。
見積もりを比較する際は、内容を細かくチェックして下さい。
金額だけでなく、見積もり内容が明確であるかどうかも、業者を選定するポイントです。

 

ステップ2.事前準備

 

事前準備では、近隣への挨拶とライフラインの停止手続きが必要です。
工事日程を記載した挨拶状を準備して、近隣トラブル防止に努めましょう。
ライフラインの停止手続きでは、工事業者との打ち合わせが必要です。
水道など工事に使用する場合が多いことが理由に挙げられます。

 

ステップ3.解体工事着手

 

解体工事着手では足場・養生シートの設置からスタートです。
周辺物と建物内部の解体後に、重機を利用して建物本体を解体します。
最後に、廃材の分別・地中物の確認・整地をして解体作業は完了です。

 

一戸建ての解体費用に関するよくある質問

一戸建ての解体費用に関するよくある質問をまとめていますので、解体を検討中の方は、自分たちに置き換えて考えてみましょう。

 

・木造二階建ての解体費用に補助金は出る?

・25坪、40坪、50坪の家の解体費用はいくら?

・解体費用が出せない場合はどうすればいい?

 

順番に解説します。

 

木造二階建ての解体費用に補助金は出る?

 

補助金の有無や要件は自治体ごとに異なるため、必ず出るわけではありません。
具体的には、収入や建物の耐震基準など様々な要件があるので、お住まいの自治体に確認が必要です。

 

25坪、40坪、50坪の家の解体費用はいくら?

 

 

25坪

40坪

50坪

木造

75~125万円

120~200万円

150~250万円

鉄骨造

100~150万円

160~240万円

200~300万円

RC造

150~200万円

240~320万円

300~400万円

 

坪数ごとの概算費用は上記の表の通りです。
付帯工事や立地などにより金額は変わりますので、正確な金額を出すためには、現地確認が必要となります。

 

解体費用が出せない場合はどうすればいい?

解体費用が捻出できない場合は、銀行の解体ローンを利用しましょう。
ただし、金利などの負担がありますので、倒壊の恐れが無い場合は、時間を置くのも方法の一つです。

 

まとめ:一戸建ての解体費用を知り本当に解体すべきか検討しよう

相続で空き家を取得した際に、慌てないためにも、解体費用を把握しておくことが望ましいといえます。
自分たちが当事者になった時に、本当に解体すべきかの判断材料となるからです。
空き家問題は決して他人事ではありません。

 

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※金利や制度は2022年2月時点のものです。

コラム監修者情報

木場昌也

二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟

入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。

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