住宅ローンを一括返済するデメリットは?得するタイミングやシミュレーションも
この記事では、住宅ローンを一括返済するメリットやデメリット、得するタイミングやシミュレーションなどを詳しく解説します。
住宅ローンでマイホームを購入した場合、返済期間の満了前にローンを早く返し終えたいと考える人も多いでしょう。
ローンを早く返済する方法の1つが、借りたお金を1度に一括返済することです。しかし、一括返済は一見魅力的に思えますが、必ずしもよい選択とは限りません。
この記事では、一括返済以外でローンを早く返済する方法もお伝えするので、ローン残債を早く返済したい人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● そもそも住宅ローンの一括返済とは?
● 住宅ローンを一括返済するデメリット
● 住宅ローンを一括返済するメリット
● 住宅ローンの一括返済で得するタイミング
● 住宅ローンの一括返済効果をシミュレーション
そもそも住宅ローンの一括返済とは?
前述の通り、住宅ローンの一括返済とは借入した住宅ローンの全額を1度に返すことを指します。
住宅ローンは、毎月一定の金額を長期に渡って返済する形式が一般的です。ただし、大きな金額が手に入った場合や、貯金が十分にある場合など、借入金を1度に返済できることがあります。
ここからは、住宅ローンを一括返済する流れについて解説します。
住宅ローンを一括返済する流れ
住宅ローンを一括返済するときはまず、一括返済が可能かどうかを金融機関に問い合わせます。すべての住宅ローンが一括返済できるわけではないため、自分が借りている住宅ローンが一括返済に対応しているか確認する必要があります。
一括返済が可能だとわかったら、返済に必要な金額を確認します。返済金額は、借入残高だけでなく金利や手数料なども含まれるため、正確な金額を把握しておきましょう。
金額を確認したら、返済方法を金融機関に相談します。通常は、口座振替や銀行窓口での支払いなどの返済方法があります。
一括返済の手続きを進めると、全ての借入金を返済できます。返済が完了すると、住宅ローンに関連する抵当権が抹消されます。”抵当権抹消手続き”は、貸主である金融機関が借主の土地や建物に対する担保権を消すためのものです。
一括返済後に法務局で手続きを行い、家や土地を自分の所有として登録する必要があります。
住宅ローンを一括返済するデメリット
住宅ローンを一括返済する場合、下記の3つのデメリットが考えられます。
- 住宅ローン控除を受けられなくなる
- 一時的な負担が大きい
- 保険を見直す必要がある
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローン控除を受けられなくなる
住宅ローンを一括返済するデメリットとして、住宅ローン控除を受けられなくなる点が挙げられます。
住宅ローン控除とは、一定の要件を満たすと、最大で13年間において所得税や住民税が減税できる制度です。
年末の時点で借入残高があることが、住宅ローン控除の要件の1つです。そのため、一括返済をするとその時点で借入残高がなくなり、所得税や住民税の控除を受けられません。
一時的な負担が大きい
残債額によりますが、まとまったお金を一括で返済するため、契約者の一時的な負担が大きくなるでしょう。
住宅ローンの一括返済後にまとまったお金が必要になった場合、現金が足りず別のローンを組むことも考えられます。
急な出費や、支出に必要なお金を計算せずに一括返済してしまうとマイナス要因となります。
保険を見直す必要がある
ほとんどの場合、住宅ローンの申し込み時に金融機関から団体信用生命保険(団信)への加入を求められます。
団信とは、契約者が亡くなったケースや重い障害で返済できなくなったケースなどに、保険金で残債が支払われる保険です。申込者が亡くなった場合、家族にはローンのない住まいが残るため、生命保険代わりに使われる場合があります。
一括返済で借金がなくなると団信が使えなくなり、保険代わりとして利用できなくなってしまいます。そのため、新たに保険なども見直さなければなりません。
住宅ローンを一括返済するメリット
住宅ローンの一括返済には、以下3つのメリットがあります。
- 保証料が返金されるケースがある
- 毎月の返済負担がなくなる
- 総返済額を減らせる
それぞれ詳しく解説します。
保証料が返金されるケースがある
ローン実行中にローンの返済を終えると保証する期間が短縮されるため、契約時に支払った保証金が一部戻ってくる可能性があります。
ローンの申し込み時に、金融機関から保証会社への加入を求められるケースがあります。加入を求められる理由は、借入金の滞納があった場合は保証会社が金融機関へ肩代わりするため、金融機関のリスクが減るからです。
保証会社に加入する際に申込者は保証金を支払いますが、保証金は借入額と保証期間を基に算出されます。
毎月の返済負担がなくなる
住宅ローンで住宅購入の費用を借入すると、一定額を毎月支払い返済します。
一括でローンを返し終えると、毎月の支払いがなくなります。
毎月の負担がなくなることは、一括返済の大きなメリットです。
総返済額を減らせる
毎月返済する費用は元金に利息を加えた金額であるため、一括返済で総返済額を減らせます。
借入した期間が長いと利息の総額が高くなるので、一括返済を選べば利息の返済額を大幅に減らせます。
住宅ローンの返済は長期間に渡るため、支払う利息を大幅に減らせる点も一括返済のメリットだといえるでしょう。
住宅ローンの一括返済で得するタイミング
住宅ローンを返済するとき、一括返済が得だと感じるタイミングがあります。
- 住宅ローン控除が終了するとき
- まとまったお金が手に入ったとき
- 子供が働き始めたとき
ここでは、住宅ローンの一括返済で得するタイミングを3つ詳しく解説します。
住宅ローン控除が終了するとき
住宅ローン控除によって、年間で最大35万円の所得税や住民税が抑えられます。最大13年間利用できるため、なるべく継続して利用したい制度です。
住宅ローン控除の適用期間が終了したあとに一括返済を実行すると、お得なタイミングといえます。
まとまったお金が手に入ったとき
予期せぬまとまったお金が手に入ったときも、一括返済のお得なタイミングです。
お金を貯めて一括返済した場合では、急な出費に対する不安がつきまといます。突発的な臨時収入が手に入ったときに完済することをおすすめします。
子供が働き始めたとき
子供が働き始める時期を待ってから一括返済することも、得するタイミングです。
住宅ローンは長い期間の返済であるため、マイホーム購入当初は小さかった子供も、時間が経つと働き始める年齢になっているでしょう。教育費にお金がかからなくなるので、預貯金を使っても突発的な出費が起こるリスクが少なくなります。
また、貯金がないときに急な出費が必要になっても、子供からの援助が期待できます。そのため、子供が働き始めたときも、一括返済を選んで得するタイミングといえるでしょう。
住宅ローンの一括返済をシミュレーション
住宅ローンの一括返済を、いくつかのパターンに分けてシミュレーションします。
借入金額を3,000万円、金利1.1%、35年の元利均等方式と仮定して、10年目、20年目、30年目で一括返済した場合のシミュレーションを表にまとめました。
一括返済のタイミング | 支払った利息 | 総支払額 |
一括返済しない | 616万円 | 3,616万円 |
10年後 | 291万円 | 3,291万円 |
20年後 | 495万円 | 3,495万円 |
30年後 | 602万円 | 3,602万円 |
一括返済しない場合、10年目で一括返済する場合の利息の違いは325万円であるため、総返済額が大きく異なるとわかります。
30年目で一括返済した場合、最後まで返済し続けた場合と、総支払額はあまり変わりません。
残債の残りも多くありますが、早く一括返済すればするほど、総支払額は少なくなります。
早めに返済できると、利息負担が大幅に減るといえるでしょう。
住宅ローンを一括以外で早く返済する方法
ここからは、住宅ローンを一括返済以外で返済する方法を解説します。
- 借り換え
- 繰り上げ返済
上記2つの返済方法を順番に説明します。
借り換え
借入している金融機関の金利が非常に高い場合は、他の金融機関に借り換える方法も検討することをおすすめします。
金利が低くなると、今までの返済額に設定したとしても、金利が安い分返済期間を短縮できる可能性があります。
借り換えの場合、借り換え先に支払う事務手数料などが追加されるので、借り換えにかかる費用も事前に計算しておきましょう。
繰り上げ返済
住宅ローンは、一括返済だけではなく、残債を一部だけ返済する繰り上げ返済といった方法があります。
繰り上げ返済後、毎月の支払額を減らす方法と金額は変わらずに期間を短くする方法が取れます。期間を短くすると、早期完済が可能です。
住宅ローンの一括返済に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンの一括返済でよくある質問を3つ挙げました。
- 親からお金を借りて一括返済してもよい?
- 住宅ローンの一括返済で必要な書類は?
- 結果的に住宅ローンは一括返済すべき?
それぞれ回答します。
親からお金を借りて一括返済してもよい?
借入した金額を返済するならば、親からお金を借りても構いません。
ただし、親からお金を借りて返済しない場合には注意が必要です。なぜなら、贈与の対象となり、贈与税を支払わなければならない場合があるからです。
住宅ローンの一括返済で必要な書類は?
必要な書類は金融機関によって異なりますが、完済依頼書などが必要になります。
また、前述したように、返済中は抵当権が設定されているので、抵当権の抹消に関する書類が必要です。基本的に金融機関側から書類を提出されるので、自分で準備する必要はありません。
結果的に住宅ローンは一括返済すべき?
ローンを減らしたいのであれば、早期に一括返済すると総支払額を大幅に減らせます。
早めに完済できるなら、全額返済しておくことがおすすめです。
しかし、前述したようにデメリットもあるので、本当に一括返済してよいのかを、しっかりと把握しておきましょう。
住宅ローンは一括返済などの方法で早めの返済を検討しよう
住宅ローンは長い期間の返済が必要になり、完済するまでに利息部分も支払い続けるので、完済までに元金よりも当然高額になってしまいます。
一括返済すると、総支払額を減らせる点が大きなメリットです。まとまった資金が今後必要でない場合や、住宅ローン控除が適用外の場合などは、お得なタイミングといえるでしょう。
節税で得られる効果などを事前に推測して、どの時期に実行するとベストなのかしっかりと検討した上で、一括返済することが重要です。
アイフルホームでは、今後の住宅ローンの動向にあわせて、高品質な家づくりを提案しています。一括返済や家計に優しい家づくりを検討している人は、ぜひ一度お問合せください。
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※金利や制度は2023年6月時点のものです。
コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。